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#35 ロシア語の若者言葉

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言葉は、時代とともに少しずつ変化していきます。特に若い世代の間では、新しい表現が生まれたり、もともとある単語がこれまでとは違った意味で使われたりすることも珍しくありません。

ロシア語も例外ではありません。現代のロシアでは、友人同士の会話やSNS、動画、オンラインゲームなどを中心に、さまざまな若者言葉が使われています。中にはロシア語の既存の単語から生まれたものだけでなく、英語やインターネット文化の影響を強く受けた表現もあります。

こうした言葉は、学校や仕事などのフォーマルな場面には適さないこともありますが、現代のロシア語がどのように使われ、変化しているのかを知るうえでは興味深い存在です。また、基本的な表現を知っておけば、SNSや動画などで実際のロシア語に触れる際にも役立ちます。

この記事では、ロシア語の若者言葉にはどのような特徴があるのか、代表的な表現や使うときの注意点について紹介します。

ロシア語の若者言葉の特徴

若者言葉とは主に若い世代の間で使われる、くだけた単語や表現のことです。

ロシア語では、若者の間で使われるスラングを молодёжный сленг と呼びます。

若者言葉は友人同士の会話やSNS、オンラインゲーム、動画のコメントなど、カジュアルな場面でよく使われます。特に現代では、インターネットを通じて新しい表現が急速に広まるようになり、英語やゲーム、音楽、インターネット上の流行などから生まれた言葉も少なくありません。

また、若者言葉とスラング、一般的な口語表現の境界は必ずしも明確ではありません。もともと若者の間で流行した言葉が幅広い世代に広まり、一般的な口語として定着することもあります。例えば、кру́то(すごい / 最高) や прико́л(冗談 / 面白いこと) などは、若者だけに限定されず幅広く使われる口語表現となっています。

反対に、特定の時期に流行したものの、数年後には古く感じられるようになる言葉もあります。そのため、「若者言葉」と呼ばれる表現は固定されたものではなく、時代や世代によって常に変化しています。

なお、友人との会話では自然な表現でも、学校のレポートやビジネス文書、公的な場面では適さないことがあります。そのため、若者言葉を覚える際は意味だけでなく、「誰が、どのような場面で使う言葉なのか」まで理解することが大切です。

ロシア語のさまざまな若者言葉

現代ロシア語には、若者を中心に使われているさまざまな口語表現があります。こうした言葉は友人同士の会話だけでなく、SNSや動画、音楽、オンラインゲームなどで頻繁に登場します。

若者言葉の例としては、次のような表現があります。

кру́то(すごい / 最高)

「すごい」「かっこいい」「最高」といった意味で使われる表現です。

形容詞 круто́й から来ており、何かを高く評価するときに Кру́то! と言います。「すごい!」「いいね!」に近いニュアンスです。

現在では若者だけに限定された表現ではなく、カジュアルな会話で幅広く使われています。

туси́ть(友人と楽しい時間を過ごすこと)

友人たちと集まって遊んだり、一緒に楽しい時間を過ごしたりすることを表す口語的な動詞です。

パーティーやイベントへ行く場合だけでなく、友人たちと気軽に集まって過ごす場合にも使われます。また、人々が集まって交流する場や集まりを表す тусо́вка という関連語もあります。

прико́л(冗談 / 面白いこと)

「冗談」「面白いこと」「笑えるもの」などを表す口語的な言葉です。

例えば、В чём прико́л? という表現は、文脈によって「何が面白いの?」「何がポイントなの?」「どういうこと?」といった意味になります。

文脈によって意味が変わるため、実際の状況を見ながら受け取り方を判断する必要があります。

жесть(やばい / ひどい)

жесть は本来は「ブリキ」などの薄い金属板を意味する単語ですが、口語では驚くような出来事やひどい状況に対する反応として使われます。

信じられない出来事について聞いたときに Жесть! と言えば、「やばい!」「ひどい!」といった驚きを表すことができます。必ずしも悪い意味だけではなく、強い驚きを表す反応として使われる場合もあります。

ого́нь(最高 / すごくいい)

本来は「火」という意味ですが、口語では「最高」「すごくいい」といった意味でも使われます。

料理や音楽、服装などを高く評価して Ого́нь! と言えば、「最高!」というようなニュアンスになります。

このように、ロシア語の若者言葉には、新しく作られた言葉だけでなく、もともと存在していた単語が別の意味を持つようになったものもあります。

また、同じ表現でも使われる場面や世代によってニュアンスが異なります。若者言葉は変化が速いため、辞書に書かれた意味だけで判断するのではなく、実際の会話やSNSなどでどのように使われているのかを見ることも大切です。

英語由来の言葉がロシア語に取り入れられている

ITや音楽、ファッション、ビジネスなど、国際的な文化や技術と関係の深い分野では、英語由来の言葉がロシア語の語彙として取り入れられています。こうした英語由来の表現の中には、SNSやインターネットを通じて若者の会話に広がったものも少なくありません。

例えば、лайк は英語の like に由来し、SNSの「いいね」を意味します。また、英語の fake に由来する фейкstream に由来する стрим なども使われています。

また、英単語をそのまま借用するだけでなく、ロシア語の文法に合わせて新しい動詞が作られることがあります。

例えば、лайк からは「いいねをする」という意味の ла́йкать という動詞が作られています。

同じように、英語の hate に由来する хейт からは、хе́йтить という動詞が作られています。誰かや何かを嫌ったり、否定的に批判したりするときに使われる口語的な表現です。

このように、外国語から取り入れられた言葉がロシア語の語形成や文法の仕組みに組み込まれていくことがあります。

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インターネット独自の表現が広がっている

若者言葉が生まれ、広がる場所として大きな役割を果たしているのがインターネットです。

SNSや動画、オンラインゲームなどでは、ユーザー同士の交流から新しい言葉や使い方が生まれます。特定のコミュニティで使われていた表現がSNSなどを通じて広まり、日常会話にまで定着することもあります。

こうしたインターネット上の表現には英語を起源とするものもありますが、重要なのは単に英語から借用されたという点ではなく、オンライン上で独自の意味や使い方を持つようになっていることです。

例えば、кринж は英語の cringe に由来します。ロシア語のインターネットでは、他人の言動を見て「恥ずかしい」「痛々しい」「見ているこちらまで気まずくなる」と感じるような状況を表す言葉として広く使われています。

また、рофл は英語のインターネット略語 ROFL(rolling on the floor laughing) に由来します。ロシア語圏では「冗談」「笑えること」などの意味で使われ、そこから ро́флить という「ふざける」「からかう」といった意味の動詞も生まれました。

インターネットでは既存の言葉から新しい意味が生まれることもあります。また、ミームや動画、特定の出来事をきっかけに、それまで存在しなかった言い回しが短期間で広まることも珍しくありません。

こうした表現の特徴は、変化の速さにあります。最初は一部のオンラインコミュニティだけで使われていた言葉が突然流行することもあれば、数年後には古い表現としてほとんど使われなくなることもあります。

そのため、インターネット上の若者言葉は、辞書だけではなく、実際にどのような場面で使われているのかを見ることが重要です。

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若者言葉を使う際の注意点

若者言葉を覚えた後に、実際の会話でも使ってみようと考える人も多いかもしれません。しかし、若者言葉は使う相手や場面には注意する必要があります。

友人との会話やSNSでは自然に使われる表現でも、先生や上司、初対面の人との会話では、くだけすぎた印象を与えることがあります。特に公的な場面では、標準的なロシア語を使う方が無難です。

また、若者言葉にはそれぞれ独特のニュアンスがあります。同じ「すごい」「やばい」と訳せる言葉でも、驚きを表すのか、相手を褒めるのか、皮肉として使うのかによって意味が変わることがあります。そのため、辞書に書かれた日本語訳だけを覚えて使うと、意図したものとは違う印象を与えてしまう可能性があります。

さらに、若者言葉は流行の変化が速く、世代によって使われ方も異なります。少し前まで流行していた表現が古く感じられたり、特定の世代やインターネット上でしか使われなかったりすることもあります。ネイティブではない学習者が無理に使うと、不自然に聞こえる場合もあるでしょう。

特に、若者言葉の中には、単にくだけた表現というだけでなく、粗野な言葉や侮辱的な表現も存在します。

ロシア語には мат と呼ばれる、特に強くタブー視される卑語・罵語の表現群があります。映画や音楽、インターネットなどで目にすることがありますが、非常に粗野で侮辱的な意味を持つものもあるため、意味やニュアンスを十分に理解せず使うことはおすすめできません。

若者言葉を学ぶときは、「意味を理解できること」と「自分で自然に使えること」を分けて考えることが大切です。

まずは聞いたり読んだりしたときに意味が分かる程度を目指し、実際に使う場合はネイティブがどのような場面で使っているのかを確認してから使うとよいでしょう。

まとめ

ロシア語には、若い世代を中心に使われるさまざまな若者言葉があります。

主な特徴をまとめると、次のようになります。

  • 若者言葉は友人同士の会話やSNSなどでよく使われる。
  • кру́тотуси́тьприко́лжесть などの口語的な表現がある。
  • 現代の若者言葉には英語の影響が強く見られる。
  • ла́йкатьхе́йтить のように、英語由来の単語がロシア語の動詞になることがある。
  • インターネットやゲーム、SNSから新しい言葉が広まっている。
  • 若者言葉は変化が速く、時代によって使われる表現が変わる。
  • フォーマルな場面では適さない表現も多いため、使う相手や状況に注意する必要がある。

若者言葉は、ロシア語の教科書だけを読んでいてもなかなか出会えない表現ばかりです。特にロシア語のSNSや動画では、多種多様な生きた若者言葉に触れることができます。

ロシア語を学ぶ上では無理に覚える必要はありませんが、現代のロシア語を理解するためには、こうした言葉の存在を知っておくことにも意味があります。

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